当会について

長野県有機農業研究会とは?

 ■こんな会です!  長野県有機農業研究会は、農業生産者、農産物加工業者、消費者、医師、研究者、ジャーナリストなど有機農業に関わる幅広い力を集めて1981年に結成されました。現在約200名の会員が参加して活動しています。  戦後日本の農業生産方法は大きく変化し、それまで肥料不足や病害虫、雑草との戦いに苦しんでいた農家は一斉に農薬と化学肥料に頼るようになりましたが、そこには大きな落とし穴がありました。1960年代になると農薬と化学肥料による被害が日本中を覆い、農薬中毒・作物中の発癌物質・環境破壊など、さまざまな問題が表面化してきました。このような状況の中、良識ある人々により1971年に日本有機農業研究会が発足し、また国際的にも運動が高まり、72年に国際有機農業運動連盟(IFOAM)が結成されました。  県内でも多くの方々が、それぞれの立場で地道な活動を続けていました。やがて有機農業に取組む人がさらに増えるに従い、全国各地で県単位で会を作る動きが始まり、長野県有機農業研究会が結成されました。  現在、私たちを取り巻く状況は大きく変化し、従来の農薬や化学肥料による害にとどまらず、環境ホルモンや遺伝子組換え作物の問題が、命に関わる問題として私たちに迫ってきています。  遺伝子組換え作物は、たとえ農薬や化学肥料を一切使わずに作られたとしても有機農産物ではないということは国際的に確認されています。しかし組換え作物は、輸入飼料から家畜糞尿(堆肥材料)に形を変え、また有機質肥料として、有機農業の中にさえ入りこんできています。それどころか、組換えられた遺伝子は人間の管理を離れ世界中を遺伝子汚染しつつあります。  またあらゆる生産・生活場面にさまざまな環境ホルモンを出す物質が入りこんでいます。私たちはこれらの問題に対しても、何とか解決方法を見出して行きたいと思っています。  最近、地球温暖化防止機能など、農の持つ多面的機能が重要視され始めました。これからの地域社会を考える上で必要不可欠な、人とひととの絆・循環型社会のあり方や、環境問題などを「有機」という視点から見つめ、発信して行くことも私たちの大切な役割と考えています。
    
■こんな活動をしています! 
・大会 年一回、毎年2月頃に総会と併せて大会を催しています。会員だけでなく、開催される地域の皆さんにも参加していただき、2日間にわたり、講演・事例発表/検討・分科会・懇親会・総会など、内容豊富に行っています。県内を4つの地区ブロック(北信・東信・中信・南信)に分け、巡回開催し、担当する地域の実行委員会がすべて手作りしています。それぞれの地域の特徴が出て、毎回違った楽しみがあります。まずは、気軽に一度のぞいて見てください。
・会報  会報編集委員会により、3月・6月・9月・12月の年4回、会の活動や関係するイベントのお知らせ・研究レポート・実践報告・活動参加報告など、盛沢山の内容で読み応えのある会報を発行しています。会員からの投稿も大歓迎で、随時掲載されます。 
※2016年度より、会報は年一回の発行となります。従来の会報にて掲載されていた内容の一部は、随時当ブログにて公開されます。
・地区学習会  毎年地区ごとに、県内の各地区の生産者の実際の圃場や研究施設などの現場や見ながら、さまざまな取り組みを学習し、自らの活動に生かしていただけるよう企画しています。
・部会活動  会の中には、同じ関心を持つ会員が集まって、活動することができる部会があります。  
<穀物野菜部会>  土作りから栽培、貯蔵方法まで、見学会などもしながら幅広く実践的に学習しています。  
<種苗部会>  有機農業に向く穀物や野菜の種子を探し、保存したり、自家採種した種の交換会をしています。  
<食べ物部会>  有機農業を食生活の面からとらえ、健康に育てられた作物を上手に身体にとり入れて行く食べ方をテーマに活動しています。
他にも果樹部会や青年部などがあり、独自の活動をしています。
・特別イベント  各地区担当で有機農業そのものというよりは、もう少し広く環境・健康・食品・暮し方といった中から時宜にかなったテーマでの講演会や各地区の特色のあるイベントを行っています。会員以外の皆さんにも関心を持っていただき、私たちの運動に対する理解を深めていただけるように企画しています。
・会員の自主的な活動  有機的な生活を楽しむために、農村文化や農のある暮らしの中での生活技術を学ぼうと、会員が自主的に開いています。庭先養鶏や、自給用の果樹栽培、食用油搾り、家づくり、山仕事などといった、生活を豊かにするための勉強会です。有機農業そのものの勉強とは一味違った魅力があります。

 ■有機農業の目指すもの
 一.安全で質のよい食べ物の生産   安全で質のよい食べ物を量的にも十分に生産し、食生活を健全なものにする。
一.環境を守る   農業による環境汚染・環境破壊を最小限にとどめ、微生物・土壌生物相・動植物を含む生態系を健全にする。
一.自然との共生   地域の再生可能な資源やエネルギーを活かし、自然の持つ生産力を活用する。
一.地域自給と循環   食料の自給を基礎に据え、再生可能な資源エネルギーの地域自給と循環を促し、地域の自立を図る。
一.地力の維持培養   生きた土を作り、土壌の肥沃度を維持培養させる。
一.生物の多様性を守る   栽培品種、飼養品種、および野生種の多様性を維持保全し、多様な生物と共に生きる。
一.健康な飼養環境の保証   家畜家禽類の飼育では、生来の行動本能を尊重し、健全な飼い方をする。
一.人権と公正な労働の保障   安全で健康的な労働環境を保障し、自立した公正な労働及び十分な報酬と満足感が得られるようにする。
一.生産者と消費者の提携   生産者と消費者が友好的で顔の見える関係を築き、相互の理解と信頼に基づいて共に有機農業を進める。
一.農の価値を広め、生命尊重の社会を築く   農業・農村が有する社会的・文化的・教育的・生態学的な意義を評価し、生命尊重の社会を築く。  
(日本有機農業研究会基礎基準2001年版より)